
第1章 結婚の経済学
近時、減少傾向にある婚姻件数は、出会いの減少、結婚及び婚姻生活の費用の問題、幸せの多様化という根がある。
結婚のメリットが減少し、デメリットがクローズアップされている。結婚のメリットとは共同生活する上で家賃、食費等の「費用を節約」でき、得意な家事を担い、不得意な家事を任せる「分業の利益」、そして病気や怪我などで働けなくなった時の「リスクの分かち合い」である。一方でデメリットは子育てにかかる時間を金銭的に評価した場合、高学歴キャリア女性のばあい、失う収入が大きいことにある。また、カップルの2割がマッチングサイトで出会っており、似たもの同士(学歴等)が結婚する確率が高い。
第2章 赤ちゃんの経済学
・出生体重は子供の人生にどのように影響を与えるのか?
低体重で生まれると中年期以降に糖尿病や心臓病を発症しやすくなり、幼少期の問題行動が多く、学力面で問題を抱え、成人後にも所得が低くなりがち。だが低体重の原因の一つに妊娠時の飲酒喫煙が知られており、そういったお母さんが理想的な子育てをしてくれたのかは疑問があり、両者に直接的な因果関係があるとは言い切れない。
・帝王切開は生まれてくる子供の健康リスクになるのか?
帝王切開でうまれるくる子供達は、呼吸器系に問題があったり、免疫発達に問題があり、アレルギー喘息も患いやすくなる。その仮説は、お母さんの持つ細菌微生物をうまくもらえない。産道を通るさいにかかる物理的な力を受けない。出産方法により遺伝発現が影響を受けるというもの。しかしこれらは仮説であり、帝王切開を偏見視することがあってはならない。
・母乳育児はメリットばかりなのか?
母乳育児は神話めいた言説に覆われ、科学的なアプローチは認知されていないと理解すべきである。ベラルーシでの研究によれば、母乳育児で生後一年の胃腸炎と湿疹が減少したが、肥満・喘息・アレルギー防止効果は確認されておらず、知能行動面に対する長期的な効果も確認できていない。
第3章 育休の経済学
育休はお母さんの仕事復帰をスムーズにさせる。育休期間は1年がベストであり3年に渡ると、仕事復帰を阻害し、子供の発達にも1年も3年も大きな変化をもたらさない。ドイツでの研究はお母さんと一緒に過ごした期間の長さは子供の進学状況労働所得にほぼ影響を与えないと結論づけた。また、育児担当は必ずしもお母さんである必要はなく、訓練された保育士ならば子供も健やかに育てることができるとされる。
第4章 イクメンの経済学
夫の育児参加は制度上は先進国レベルにあるが、取得率はかなり低いのが現状。しかし、育休パパの勇気は職場内社会的に伝染するとされる。また、夫の育児参加で夫婦の絆は深まることが実証されている。一方でスエーデンでは育休取得で離婚率が上昇したとされるが、必要とされるのはイクメン及びお母さんの変化に対する心構えである。
第5章 保育園の経済学
保育園等の幼児教育は社会上教育上極めて重要である。
・幼児教育は知能より軋轢を生む問題行動を減らす効果がある。つまり、幼児教育で得をするのは本人だけではなく社会全体ある。
・子供を叩いていけないたった一つの理由は、暴力によって解決してよいという誤ったメッセージを送ることになる。
・保育園通いは虐待の抑止力となる。
第6章 離婚の経済学
離婚しやすい法を整えること、「共同親権を導入すべき」が著者の意見。現行上は子があれば離婚時に親権が定められる。通常は母親になる。兄弟が複数いても父と母の元へ兄弟が別れることはまずない。問題点はいくつかあり、親権を持たない親が子に会う機会(面会交流)が減る。養育費の未払いが発生する等。共同親権下では、いずれの親も経済的精神的身体的に養育に関わることが出来、子供の発達にも良い影響がでる。