まるで春霞

何かしたい。何もしたくない。とまるで春霞。行き先も道順もちゃんと下調べして、資料も準備したというのに。日は暮れ、時間が無いという。道沿いには多くの人々が見送りにきてくれて、その旅立ちを見守っているというのに。行こうかどうかと迷っている。まるで春霞。すっかり日も暮れて、それでは明日にしようと。飯にしようと、一杯いかがと。誘う声に戸惑う声。一杯のつもりが、杯を重ねて、勢いに乗じて、時間だけが過ぎて行く。もう頭は白けて、前後不覚、春霞に漂うか。