
月曜日。脚は動かないが、世界は動いている。左足は動かなくとも右足は動くので、車の運転は差し支えない。館山まで向かい事件を一件解決する。両手が使えないものだから、ろくにドアも開けられない。階段の登り降りはほぼ不可能。物はもてない。昨日までとはうってかわって出来ないことばかりの不便な世界となった。しかし、廻りは優しい言葉を向けてくれる。書類を申請してカウンターに立っても、取り出すのに時間が掛かる。カウンターまでの一歩が届かない。しかしカウンター向こうの方はこちら側に廻って来てくれる。コンビニで買い物さえも出来ず、カウンターまで漸く辿り着き、お金を財布からしどろもどろに取り出す。しかし、店員さんは出口のドアを開けてくれる。不便になってみて分かることもあった。たぶん世界は優しさから出来ていると思う。家に帰れば家人は手提げ鞄さえ持てない我のため、背負い鞄を買ってきてくれていた。きっと、世界は優しさから出来ている。