あしもとの雨

脚もとには雨が降っていた。長靴を履いていたとしても、つま先からジワリと濡れてくるのが分かる。夜で視界が悪いせいで、外の感覚器の神経が澄んできた。目の前には長男が歩いている。さっきまで、排水溝に流れる水に目を奪われていたが、今はそそくさと先を急いでいた。もう30分くらい歩いていた。疲れたとは思わなかったし、早く帰りたいとも思わなかった。どちらかと云えば、時間を潰していた。確かに。一時間前に仕事から帰宅すると、なんだか空気が悪かったので、長男を連れて雨の中をわざわざと出かけた。いろいろ話をした。今のこと、これまでのころ、これからのこと。どれだけのことが通じたかは分からないが、とりあえず話しかけ歩いた。家に着く頃には雨は小降りになった。ただいま!と玄関を開けると、家人はおかえりとタオルを持って長男を迎えた。長男は笑っていた。