甲殻類の季節

心と体が人馬一体の如く、疾走できる季節は夏のように短く、いつしか、心と体は乖離を始め、透明の皮膜に過ぎなかった境界は甲殻類の如く頑丈な殻を形成し始める。鬱屈した少年時代が始まる。素直に笑えた顔は無表情になる。素直に振られた右手は塑像のように体にへばり付いたまま。嗚呼。少年時代は憂鬱。