鴨川市納涼花火大会

ある意味、夏という季節を最も凝縮したものが花火大会とする。すると、それを背中で聞き流した僕にとって今年の夏は無かったと云っても良いかも知れない。とうそぶいてみるのも、夏のさまである。この日は鴨川市納涼花火大会。1930から約一時間に渡り前原海岸の空は優雅を描いたが、その下には熱狂が煮詰まっていた。2000過ぎまで山の中で仕事をしていても低く唸るように花火の破裂音が地面を通して聞こえてくる。家路に向かう途中、山の端に見え隠れた浜花火の欠片を見た。浜から音と光で伝わる熱狂もここでは冷めて伝わる。その冷め具合こそ、本当の夏の姿だとする。華やかなと熱狂の夏花火が幾重の闇を抜けて丁度いい様で伝わっている。過度な夏を逓減する距離と闇は夏の重要な背景だと思えた。