
土木作業をしていた。赤土をスコップで掘ってそれを返すという作業を何十回と繰り返していた。そのなかに写真のものがいた。たぶん、トウキョウサンショウウオであろう。冬眠中であったろう彼は8割方眠っていて残りの程度で動いている。両生類だというのに体表の粘着質も若干の弱めて油断している。もう何遍も繰り返しているが、世界最大の両生類はオオサンショウウオで、世界最大の生物がこの狭い日本国土に生息しているのはやはり何らかの奇跡だと思える。温暖湿潤の気候風土がそれを可能にしているとも。二十年ほど前オオサンショウウオを見たくて島根県まで電車とバスを乗り継いで瑞穂ハンザケ自然館まで赴き、そいつを見て、スタッフに無理云って触らせてもらって勝手に悦に入って、足取りルンルンで帰ったことをよーく覚えている。この造形の美しさと気味悪さとユーモラスがバランスした姿にまたもや惹かれてしまう。写真を撮ったあとは、悪かったなと一言添えて、元いた場所に埋め戻してやった。