銀の匙

嗜好は人それぞれである。食べ物であったり、異性であったり。文章であっても嗜好の対象である。個人に焦点を当てても、年齢というスパンの中で嗜好は時々刻々と変化する。加齢はその要因を説明する十分な言葉であるけれど、細かく云えば、若い時に多く分泌されたモノが年を経て無くなる。とか、ある者との出会いを経て感化されてゆく。とかモノとか者とかものとかのいろいろである。大概は総じてまるくなるとか、棘がとれるとか、そういった風になるとも思える。最近つとに「良い文章だな」と感じるのは写真のそれで、過不足なく描くというのはじつに美しいなぁとひとりごちている。