首筋あたり

峠を越える道は幹線と言っても、日が落ちれば、車の往来は途絶える。ヘッドライトは多少の湾曲を重ねながらも、峠へ向かう意思の強そうな道を照らしている。改良された幹線はやがて予算の及ばない未改良部分に差し掛かり、湾曲は程度を強めては時代を遡る。街灯も無くなり、更に幅員は狭まると、気のせいなのか、体が揺れる。首筋あたりから何者かが入ってくる。前頭部で考えれば考えるほど、逆側から何者かが、やってくる。原始的なやつらが。やってくる。峠には得体の知れないモノがいる。