大水なだれきたりて

規模の大小を問わず、晴天時に川の流痕が地表に残っている様を一般名称として水無川と云うならば、世界中の庭にそれは見受けられようか。痕跡とか蛇行痕、爪痕といった言葉がまるまる該当するそれらは、午前3時、真夜中の豪雨の残したものとなる。屋根を叩く雨と、サッシを揺らす風と、暗闇を一瞬無にする雷で目が覚めたのもその頃で、玄関を開け、すごいなと、トイレの窓から、雨だなと、台所の小さな曇ガラスに突き刺さる閃光に、瞬時たじろぐ始末。この時の時間降雨量は55.5mm。災害レベル。長狭平野に降った雨を集めて流れる加茂川は大水となり、なだれ来たりて、泥流の塊となり、転がる石のように東へ流れていった。