雨とワイパー

突然に降り出した。確かにそうなのだが、その日のうちにそんな降り方がが二度三度あれば、もうそれは「突然に」という形容は的を7割方外している。黒くて陰鬱な雨雲は夕刻時の陰鬱な感情に覆い被さるように乗じてくる。車に乗っているので自らが雨に濡れることもないはずなのに、幹線を走る車の流れは速度を増しているようである。いや、スピードガンで計ってるわけでもない。そんな気がするだけのことかもしれない。黒くてアメーバ状の雨雲からは驟雨の束が垂直方向に筋のように遠くに見られた。ここもほんの数分前はそのスポットの当たったところであったことを思えば、時間の流れを肌で数えることが出来る。そう、自動車技術の進化は日々目覚ましく、その商品化のスピードとコストの低下は目覚ましいが、目の前に先ほどか右から左へ、左から右へと動き、水滴を飛ばしているワイパーという機能は自動車誕生以来、なんら技術革新がない部品だと聞く。ワイパーは動いているが、時間は止まっているのだという。