哨戒

彼女にとって気がかりなのは隣家にいる若い犬である。奴が現れたのは数ヶ月前であったが、ここ近時、奴の存在が大きくなり始め、どうにもこうにも気になっている。それまでは安穏とした日々であった。特に吼えることも少なく、彼女の領地領海は保全され、それを脅かすモノなど居なかった。ところが奴だけは気に入らない。不安というものあるかも。だから哨戒活動は欠かせない。なにかを察知すれば駆けつけ、二度や三度吼えてやる。そうすれば弱腰な奴は立ち入って来ない。安心して帰投する。戦う為に哨戒線を張っているのではない。戦わない為の活動なのだ。そんなふうにして、この国の未来を彼女から教わっている。