のぼる

裏庭の中心に高さ3mの単管パイプが地面から生えている。二年ほど前、穴を掘りコンクリートで固めて作ったのぼり棒。だと思っていい。その頃でさえ、長女や近所の子供達が、ほんの少しの間だけ、登っただけの不人気ののぼり棒。この日、夕方に帰宅すると、長男は裏庭にいて「見てっ!」といって、のぼり棒に近づき、その根元で靴を脱ぎ、靴を揃え、両かいなをぐいと上に伸ばし、パイプを握り、足の裏をそれにぐいと押しつけ、漕ぐように抱きつきながら登ってゆく。力強く一番上まで行き着くと、ずぅず、ずっっ、と降りてきて「すごいでしょ。ようちえんでもやってるの!」と。自慢げである。この棒を立てた二年間には二歳であった長男。その頃は歩き始めて間もない頃、だったことを思えば、小さくとも、いよいよ力強く成長している。ほんと、ありがたいと西に沈むお日様に向かい、何度も何度も心の中で手を合わせている。