くまんばち

くまんばちが真っ青な空にいる。写真でみるよりももっと何倍も真っ青な空だ。カメラでも言語でも捉えられない青さ。一目惚れしそう。それを背景にくまんばちは咲き始めた紫色の玄海ツツジの隣でホバリングしている。ひとしきりホバリングし、何かの拍子に加速度的に飛び去る。ホンダジェット以上の飛行能力を披瀝する。暫くすると再び舞い戻る。ホバリングしては飛びさる。繰り返すうちに、玄海ツツジの周りはこの個体の縄張りで、侵入者を排斥している行動なんだと理解する。縄張りは所有権というよりも占有権に近い。社会が進化し発展する応じて物権は変化したと想われる。物権法定主義により現在は規定されている物権も、もともとは自然発生的に生じたものと推定されるが、占有権はその初期から存在していたのではないかとくまんばちの行動を見て想像される。権利登記しておけば支配下状態を維持できる所有権というのは高度化した社会が生み出した類のものだろう。「くまんばち」の正式名称がクマバチとだということを知ったのはたぶん極最近で、それは教科書や文字を通して覚えて行く類の物ではなくて、友達や先輩や親兄弟を通して認識してゆくものの類の話には往々にしてあることだ。齟齬が生じて、どっちの世界を信じるか迷ったらは、自分に合ったほうを選べばいい。世界はそれくらいの幅は許容してくれている。そう、で、このくまんばちは刺さないから大丈夫だと云われてきた記憶もある。調べれば、刺さないのはオスだという。羽音は威嚇的だけど、体はまるこっくてかわいらしい。