うなりくん

「うなりくん」は成田市のゆるキャラで飛行機と鰻から成る幻想生物だが、現実の飛行機と鰻は想像以上に目を奪われ幻想的であった。成田空港は今でも検問してるのねと思いながらナビに従い、成田空港内の緩やかなカーブを重ねる道路を進み、”左にカーブを曲がると光る海”は見えなかったが、直轄領特有の精緻さとスケールを同時に感じていた。訪れた航空科学博物館は各種機体、レプリカ、実物を展示し、社会的、物理的、経済的から飛行機の飛行場の機能と優美と歴史を語っている。数々の飛行機の模型は実に鋭き美しいものだと思える。機能美という言葉を体現してしてくる。これが様々分野の知を集積させ、現実に稼働している様は思い入れ次第では奇跡と思えてくる。夕刻間近のそれ等は列を作り次々と着陸態勢に入る。有るはずもない空の路がくっきりと見えてくる。関西から仁川からの時にはJKケネディーから13時間の長旅を経て、数百人を乗せ、数千ガロンの燃料を消費し、全長100メートほどの巨大なる躯体を飛ばしてくることを思うと四畳半で暮らしている愚生は感嘆の声を心で漏らすのがせいぜいである。もう少し時間があれば、隣接する歴史館も興味深かったのだけど。成田山新勝寺前の門前通りは時間もあって店終いの多いなか、名店は「川豊」に足をのばす。間口を大きく開け放った店構えは自信と経済性のあらわれか。奥に席を貰ったが、足下からの暖房もあり、寒くないのは望外だった。或いは鰻もまた飛行機に負けず数百キロメートルの長旅を連ね太平洋の南からやってくる。不可思議な生物である。今ある知をもっても未だその誕生と生態の謎は大きい。長男に注文した鰻を全て食べ尽くされ、ありつたのはタレ掛け御飯という、哀れなおもしろみかな。元住民の妻の運転であれやこれやの散策に従い帰路に着く。