どん坂

れぇしゅうのうえんはらとしたんにゃのさけぇにどん坂っつう坂があって、今となってはあちこち削られてはばも広がりふつうの坂に見えっけど、なんじゅう年も前は急でほそくて、木が右左から生い茂ってものぐらかった。その坂の上には部落の墓地があってほんごうのしんだみんなが入っていた。ひるまはこども等が坂をいったりきたりしたり、田のくさかりにいくわけぇのがいたりでするんだけど、夜になるともう、人のけはいもなくて、静まりかえっている。雨のふる晩にはあうぇ火の玉がとんだりもした。これはじいさんから聞いた話だけど、なつのあっちぃ夜には人の玉がどん坂をころころと転がるんだと。はぁどん坂は急だから、とまりゃしねぇ。転がるさきのほうには川があって、ころがってそこにポトンとおちるという。ぷかりぷかりと浮かびながれてゆくたましいは川にそって海にそそぎ、うみはやがてくもに、なって、くもはあめをふらせて、ここにかえってくるんだと。とくに盆の頃のあめは、ありがてぇって。じいさんはいっていた。