ホウボウとキンメ

不細工なホウボウは真っ赤で美しくスマートなキンメに憧憬をもってるだろうか。

気まぐれみたいに底引き網に引っかかるホウボウは不細工で雑魚でだから旅館の食膳には上がらないが、一本で釣られるキンメは市場性高いわりに供給が限定的で不均衡対策で備蓄され、ホテルの膳に上がっても、大概あぶらぬけっちゃってる。

脂が乗ればホウボウだって美味だが、脂が乗らなければキンメだって雑魚なのだ。脂の乗ったホウボウがどれほどうまくなれるのか。どれほどうまくなれるのか。ホウボウ自身は分からない。

でも知っている。キンメは深海では赤くないこと、それほど美しくないことをホウボウは知っている。

春先、深海でホウボウはうれう。ほんとうのことって。